流すな汚染水!とめよう原発 !3 .30 集会 小出裕章さん講演ビデオ

会場からの質問に答える (質疑応答)

政府は「日本の電力は原発なくして成り立たない」というが・・

核融合は安全なのか?
通常運転の原発トリチウム水との違いは何か?
放射能汚染水は「処理水」なのか?
フランスも英国もやめた「再処理」をなぜ続けるのか?
MOX(モックス燃料)について
非常事態宣言はいつ解除されるのか?

レジメ 3.30小出講演

福島原発の放射能汚染水問題は日本の原子力開発の根本に関わっている
2024年3月30日 小出裕章さん講演会

1)核兵器開発と原子力発電所
※原発は膨大な放射能を生み、それを抱えながら運転する機械である
–広島原爆で燃えたウランの重量=(生成した核分裂生成物の重量)800g
100万kWの原子力発電所1基が1年運転するごとに燃やすウランの重量=(生成する核分裂生成物の重量) 1トン

2)フクシマ事故が生んだ悲惨で多様な被害
・立ち入りが禁止された地域で救助を待ちながら死んだ人たち
・本来なら放射線管理区域にしなければならない土地に棄てられ、被曝しながら生活を続ける100万人を超える人たち
・生活や家庭の崩壊を覚悟して自力で避難し、貧困や離婚の危機の中で、ひたすら子どもの被曝を防ぐために避難を続けている人たち
・強欲な人間の犠牲となり、棄てられ、餓死した、あるいは殺された家畜、ペットたち

3)国は常に嘘をつく
–もともと原発は膨大な危険を抱えている。原子力推進派は多重な安全装置を付けるので、原発に限って絶対に大事故は起こらないと嘘をついた。でも、彼らも万一の事故が怖かったの で、原発を都会に作らず過疎地に押し付けた。
–そして、フクシマ事故は事実として起きた。嘘をついた彼らは謝罪もしないまま「想定外」といって責任を逃れた。それまでの安全基準が事実によって否定されたため、彼らは今度は「新規制基準」を作り、原発が安全になったかのように嘘をついている。ただし、「新規制基準」は「安全基準」ではなく、基準に合格しても「安全」だとは言わないと規制委員会が言っている。
※2017年、当時の今村雅弘復興大臣は、「まだ東北、あっちの方でよかった。首都圏あたりだと莫大、甚大だったと思う」と発言した。

4)能登半島地震と志賀原発、柏崎刈羽原発
–能登半島地震は、複数の断層が連動して起きた。そんなことは予想されていなかた。
–志賀原発も柏崎刈羽原発も10年以上止まっていた。 運転中の原発が地震に襲われれば、福島原発事故になる。
–今回の教訓は、原発が動いていなくてよかったということ。
※世界最大の地震大国、日本。こんな国に原発など作ってはいけなかった。

 5)福島原発の放射能汚染水
–放射能汚染水→ALPS処理
13年経った今も「ALPS処理水}約3割、「処理途上水」約7割
–トリチウム(T)は水素の同位体。ALPS処理を含めどんな水処理技術を使っても取り除けない。福島第一原発の敷地のタンクにある130万トンの水にはトリチウムが排出基準濃度の10倍含まれている。
※当然、それは「放射能汚染水」であり、「処理水」と呼ぶことなど論外。しかし日本ではマスコミが率先して「処理水」と呼び、「汚染水」と呼ぶとバッシングを受ける。
※被曝は必ず害を伴い、安全な被曝などない。放射能を消す力は人間にも、自然にもない。放射能を含んだ水を海に流してはいけない。福島原発の汚染水を海に流さない現実的で、容易に実行できる方策はたくさんある。
噓とインチキを積み重ねて、国と東電は汚染水を海に流している。

 6)でたらめを続ける真の理由は?
–核兵器製造で必要な「燃えるウランU-235」は自然界に0.7%しかない。そのため、 同位体濃縮という特別な作業が必要 だが、その作業のためには莫大なエネルギーが 必要 (広島型原爆)
–「燃えないウランU-238」に中性子う捕獲させるとほどなく核分裂性のプルトニウムPu-239になる。原子炉を運転すると自動的に原爆材料プルトニウムが手にる。(長崎型原爆)そのためには「再処理」が必要。
–日本では原発の使用済み燃料はすべて「再処理」してプルトニウムを取り出すと決められている。 六ヶ所村に計画されている再処理工場がもし運転を始めれば、1年間に800トンの使用済み燃料を処理し、それを40年続け、総計3万2000トンの使用済燃料に含まれるトリチウムをすべて環境に棄てる計画で、それを安全だと国が認可した。
※もし、福島のトリチウムを海に流してはいけないということになれば、再処理工場の運転もできなくなり、日本の核(=原子力)政策は根本で崩壊する。そのため、漁民がどんなに反対しようが、世界の国がどんなに抗議しようが、日本というこの国は放射能汚染水を海に流す以外の方策をとらない。

7)為すべきこと
–戦争をすれば軍需産業が儲ける。戦争とは、人と人がお互いに憎みあって殺しあう こと。 戦争だけはしてはいけない。
–何よりも大切なことは戦争そのものを無くすこと。自民党政権の政策とは正反対に、軍隊(自衛隊)を廃止し、軍事同盟(日米安保)を廃止し、武器を作る企業を禁止することである。その上で、戦争の当事国のどちらかを応援するのではなく、戦争を終わらせるための仲介に全力を尽くすことこそ、平和憲法を生かすために必要なことである。

加速する「柏崎刈羽原発“再稼働”」の動向

 

背景に福島第一“事故処理費用”柏崎刈羽原発“再稼働”に同意を要請【報道ステーション】(2024年3月21日)

東京電力は新潟県の柏崎刈羽原発7号機の再稼働に向けて原子炉に燃料を入れる「燃料装荷」の実施を原子力規制委員会に申請しました。

柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる経済産業省から県に対する理解要請が、なぜ今のタイミングなのかなど、これまで取材を進めてきた笹井記者が解説

“原発のまち”に住み原発に揺れてきた地元の人の思いを聞きました。

3月27日夜、柏崎市で開かれた柏崎刈羽原発再稼働に関する地域懇談会。
【柏崎市 桜井雅浩 市長】
「柏崎市にとっても、新潟県にとっても、世界にとっても、原子力発電所の再稼働には意義があるというのが私の考え方」

柏崎刈羽原発 停止11年の課題 増える“運転未経験者”《

大丈夫か!オスプレイ~どうして止めない日本政府【半田滋の眼 NO.99】20240321

防衛ジャーナリスト半田滋の基礎から解説。衝撃の墜落事故から4か月。原因不明のまま、飛行が再開されました。問題はどこにあるのか、根本から解説します。

欠陥機オスプレイの即時飛行停止を!

全機の飛行停止だったのに・・

昨年11月、鹿児島県屋久島沖で米軍横田基地のオスプレイCV22が墜落し8名の兵士全員死亡するというオスプレイ運用史上最悪な事故が発生しました。これを受け米軍、自衛隊のオスプレイ全機の飛行停止が行われました。
ところが3月8日、米軍は運用停止の解除を決定し、14日から沖縄の普天間基地のオスプレイの飛行を再開させました。自衛隊も飛行再開を決定し、3月21日より木更津基地周辺で飛行を再開させてのです。

「事故原因」が明らかにされないまま

木更津市長は自衛隊から「説明」されたと飛行再開を容認ししました。しかし事故原因が一切説明されることもなく容認したのです。
沖縄県知事はじめ「説明」を受けた多くの自治体の首長から「説明不足」「拙速」だと「飛行中止」を要請しています。いったい木更津市長は、「市民の安全」をどう思っているのでしょうか。

〃配備当初よりも今の方が心配・・〃

「オスプレイが飛ぶと自宅の庭から見える。夜も遅くまで飛び、うるさい。ここ1年でオスプレイのトラブルが頻繁になっている印象だ。飛ぶ回数が増えて不具合も出るのではないかと、配備当初よりも今の方が心配だ」(木更津市岩根の桑原さん)

「オスプレイは導入自体も、今回の飛行再開も米国の言いなりだ。今また飛ぶなんて、こんなふざけたことはない」(同市吾妻の小原さん)

「事故原因の詳細をすぐに明らかにできない事情があるなら、せめて飛行再開は詳細を説明できてからにするべきではないか。なぜ待てず、市はなぜ市民に判断材料を示せない段階で容認したのか」(同市江川70代男性)
ーー【東京新聞3月22日】

「オスプレイが飛行するのは嫌です。音もうるさいし、木更津にオスプレイはいらないと多くの住民が言っています。どこか他へ行ってほしいです」(市内60代女性)
ーー【NHK3月21日】

大惨事になることは不可避では?!

私たちは、オスプレイ配備と運用に反対し、撤去を求めて活動をしてきました。ここ2年間でオスプレイの重大事故が頻発し、20名の命が奪われています。米軍はオスプレイの構造上の欠陥を認めがら運用を続け、そこで発生したのが屋久島沖の墜落事故です。その事故原因も明らかにされることも、構造上の抜本的解決もなく飛行を再開するということは、第2、第3の屋久島沖墜落事故が必然であり、住宅地での墜落になった大参事になることは不可避です。

木更津基地から直ちに撤去せよ!

欠陥機であるオスプレイは即時飛行停止を! 木更津基地から直ちに撤去せよ! 佐賀空港への配備を中止せよ!

オスプレイ飛行再開 抗議示すまなざし 市民団体、木更津駐屯地近くで監視行動 「トラブル頻発 心配」東京新聞3・22

監視行動の参加者らの前で、低音を響かせホバリングするオスプレイ

オスプレイ佐賀空港配備に向けた駐屯地工事、
佐賀地裁が差し止め「認めず」

 

2/10オスプレイ撤去!木更津駅前リレートーク&自衛隊木更津駐屯地への申し入れ

約50人でリレートークとデモ行進、 申し入れ行動を完徹❗️

第1ヘリコプター団長兼木更津駐屯地司令 廣瀬敏彦殿
防衛大臣            木原 稔 殿
内閣総理大臣          岸田文雄 殿

改憲・戦争阻止大行進!千葉  動労千葉を支援する会・木更津

陸自木更津駐屯地V-22オスプレイを今すぐ撤去してください

昨年11月29日鹿児島県屋久島沖で爆発炎上し8名全員が死亡した、米空軍オスプレイCV-22の事故を徹底弾劾します。

そもそも開発当初から死傷事故を繰り返してきたオスプレイは、ここ数年死亡事故を繰り返してきました。墜落の原因は明らかにされず、全世界のオスプレイ4百数十機が飛行停止になったままです。特に一昨年の3月と6月のノルウェーと米カルフォルニアで合計9名が死亡する事故が立て続けて起こり、米カルフォルニアの事故の原因は、「オスプレイの構造的欠陥」(ハードクラッチエンゲージメントの不具合)であることが、はじめて明らかになりました。続いて8月27日にはオーストラリアの墜落事故で3名が死亡しました。オスプレイが構造的欠陥機であるにもかかわらず、飛行を継続したために起こった事故です。

事故や「緊急着陸」が頻発している最中に、昨年8月27日陸自オスプレイV-22が、静岡県の空自静浜基地に緊急着陸しました。原因の詳細は明らかにされていませんがエンジンとプロペラをつなぐギアボックスに「金属片が見つかった」と言うことでした。緊急着陸は事故に直結するものであり、屋久島沖に墜落したCV―22と同様の事故を起こしていた可能性が極めて高いのです。いつ墜落し、隊員が死亡するかもしれないV-22オスプレイをただちに撤去することを求めます。

本年1月7日に実施された習志野演習場降下訓練始めは、は8か国もの空挺団が参加する多国籍軍的合同軍事訓練そのものです。昨年、日・米・英・豪の4カ国参加にプラスして、今年のそれは仏・独・カナダ軍・オランダ軍・インドネシア軍など、8カ国の合同軍事演習の場と化しました。

1月1日発生した能登半島大震災をしり目に「離島奪還」と称する合同軍事訓練に、CH47チヌークなど第一ヘリコプター団所属の飛行隊が参加しました。絶対に許せません。「防衛も大事」という木原防衛大臣の発言を弾劾します。

11月29日の事故を受け飛行停止がつづく今日、私たちは木更津駐屯地のV-22オスプレイの配備に反対すると共に、佐賀空港への移駐にも絶対に反対です。

こんな危険なオスプレイは日本の空にいらない!世界のどこにもいらない!をスローガンにオスプレイに反対します。何よりも木更津オスプレイに搭乗するのは、第1ヘリコプター団の自衛隊員です。私たちは、住民や自衛隊兵士の皆さんの命を危険にさらすオスプレイをただちに撤去することを要請しま

セシウムやストロンチウムなど220億ベクレルの放射性物質を含んでいる可能性がある水5.5トンが漏洩。

セシウムやストロンチウムなど220億ベクレルの放射性物質を含んでいる可能性がある水5.5トンが漏洩。本来閉めなければいけない弁が16個中10個開いていたと。 この会社は、柏崎刈羽原発を再稼働しようとしています。大丈夫なのですか。

断層上にある志賀原発は「次の地震」に耐えられるか 能登半島地震で高まった巨大地震発生リスク

2024年2月3日 12時00分
 マグニチュード(M)7.6を記録し、200人余が犠牲となった能登半島地震。発生から1カ月たつ中、拭い去れない危惧がある。次なる地震だ。先月、半島北側の断層が大きく動いた影響で、周辺の断層も動く可能性があると指摘されている。懸念が強まるのが北陸電力志賀原発(石川県志賀町)。立地する半島西側は活断層が少なからず存在する。現状にどう向き合うべきか。(岸本拓也、山田祐一郎)

◆震度5強以上の発生確率「平常時の60倍」

北陸電力志賀原発=1月2日、本社ヘリ「わかづる」から

北陸電力志賀原発=1月2日、本社ヘリ「わかづる」から

 「いずれ志賀原発の近くでも大きな地震が来るんじゃないか」
 能登半島の東端に位置し、先月の地震で甚大な被害が生じた珠洲市の元市議、北野進氏はそう語る。
 この3年ほど、能登半島は群発地震が活発化した。地震の規模が少しずつ大きくなっていたところに今回の大地震に見舞われた。そんな経緯がある中、志賀原発差し止め訴訟の原告団長も務める北野氏は「次の地震」に気をもむ。
 先の地震から1カ月を過ぎ、余震の数は減った。ただ気象庁は1月末に「今後2〜3週間程度、最大震度5強程度以上の地震に注意を」と呼びかけ、その発生確率は「平常時の60倍程度」と付け加えた。

◆周囲100キロ以内で「地震活動は活発に」

 研究者らも懸念を示す。
 先の地震は能登半島の北側で東西約150キロにわたって断層が活動したとされる。東北大の遠田晋次教授(地震地質学)が周辺の断層に与えた影響を計算したところ、今回動いたエリアの両脇、具体的には能登半島東側の新潟・佐渡沖、半島西側の志賀町沖の断層で今後、地震が発生しやすくなったという結果が出た。
 遠田氏は「佐渡島周辺や志賀町沖などで体に感じないほどの小さな地震が増えている。何らかのひずみが加わったサインだ」と解説する。「今後の地震の発生時期や規模は分からないが、陸地を含めて周囲100キロ以内の地震活動は活発になっており、しばらく警戒が必要だ」と説く。

◆「流体」今回の地震のトリガーに?

 「流体」の存在も気にかかるところだ。
 能登半島で起きた近年の群発地震は、地下深くから上昇した水などの流体が原因とされる。断層帯にある岩盤の隙間に流体が入り込み、潤滑油のように作用することで断層がずれやすくなったと考えられてきた。
 「流体が今回の地震のトリガーとなった可能性がある」と話すのは金沢大の平松良浩教授(地震学)。
 今後も流体が断層活動を引き起こすのか。

◆「地震を起こしやすくする力がかかった」

 平松氏は「現時点では分からない」との見方を示す一方でこう続ける。「今回の地震によって、能登半島の西側を含め、北陸一帯の多くの断層帯に地震を起こしやすくする力がかかったことが分かっている。マグニチュードで7クラスの大地震発生のリスクは相対的に高くなった」
「今回の地震で得られた知見を的確に対策に反映していく」と話す北陸電力の松田光司社長

「今回の地震で得られた知見を的確に対策に反映していく」と話す北陸電力の松田光司社長

 次なる地震で心配なのが志賀原発だ。立地するのは能登半島の西側。地震が起きやすくなったとも。原発の周辺は、活動性が否定できない断層が少なくない。北陸電の資料を見ると、原発の10キロ圏に限っても陸に福浦断層、沿岸地域に富来(とぎ)川南岸断層、海に兜岩沖断層や碁盤島沖断層がある。
 次なる地震に原発は耐えられるか。北陸電の広報担当者は、地震の揺れの強さを示す加速度(ガル)を持ち出し「原子炉建屋は基準地震動600ガルまで耐えられ、今回の地震による地盤の揺れは600ガルよりも小さかった。さらに2号機については1000ガルまで耐えられると新規制基準の審査に申請している。原子力施設の耐震安全性に問題はない」と話す。

◆「想定を超えた」北陸電の言い分

 北陸電の言い分はうのみにしづらい。そう思わせる過去があるからだ。
 同社が能登半島北側の沿岸部で想定してきた断層活動は96キロの区間。だが先の地震では、政府の地震調査委員会が震源の断層について「長さ150キロ程度と考えられる」と評価した。
 なぜ想定を超えるのか。
 「海底の断層を調査する音波探査は、大型の船が必要。海底が浅い沿岸部は、調査の精度が落ちる。近年は機器が改良され、小型化されたが、特に日本海側は調査が行き届いていない」
石川県志賀町の海岸部を視察する新潟大の立石雅昭名誉教授(左)=2013年

石川県志賀町の海岸部を視察する新潟大の立石雅昭名誉教授(左)=2013年

◆現行の技術水準では全容捉えがたく

 こう指摘するのは新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)。陸の断層も「地表に見える断層が数キロ離れていても、地下で一つにつながっているかもしれない」。
 現行の技術水準では捉えがたい活断層の全容。それだけに安心もできない。
 志賀原発周辺で注目すべき一つは、北に約10キロの距離にある富来川南岸断層。この断層の全容は見方が割れる。北陸電の資料では陸域を中心に長さ9キロと書かれる一方、研究者からは、海まで延びる可能性を指摘する声が上がってきた。
 脅威の程度が捉えづらいこの断層。再評価を求めるのが名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)だ。

◆地表のずれとたわみ、志賀町内に点在

 先の地震後に志賀町内を調べ、富来川南岸断層とみられる地表のずれやたわみが点在しているのを確認した。「1970年代から推定されていたが、今回の痕跡でより確度が高まった」
 鈴木氏は「今後の活動が必ずしも迫っているとは思わない」と慎重な見方を示しつつ、「先の地震では、能登半島北西部の沿岸の断層がどのような動きをしたのかは分かっていない。今までの知見に頼らず、断層の評価を検討し直す必要がある」と語る。
北陸電力が報道陣に公開した富来川南岸断層の調査現場=石川県志賀町で

北陸電力が報道陣に公開した富来川南岸断層の調査現場=石川県志賀町で

 志賀原発の近くにあり、多大な影響を及ぼしかねない富来川南岸断層。同様に再検証が必要なのが、原発の西4キロの海域で南北に延びる兜岩沖断層という。北陸電の資料によれば、「活動性が否定できない」とされ、長さは4キロとある。

◆「計算するまでもなく原発はもたない」地盤がズレたら…

 鈴木氏は「本当にこの長さか。今回の地震で、沖合に長い断層があることで隆起が起きることが改めてわかった。原発付近も海岸に同様の隆起地形があることから、長い断層がないと説明できない」と訴える。
 原発に及ぶ地震の脅威でいえば、揺れ以外にも思いを巡らせる必要がある。地盤のズレもだ。元東芝原発設計技術者の後藤政志氏は「メートル単位で上下や水平方向にズレが生じたら、計算するまでもなく原発はもたない」と指摘する。
 原発は、揺れの大きさに対して耐震設計基準が示されている一方、地盤のズレなどにより「原子炉建屋が傾いたり、損壊したりすれば壊滅的な被害となる」。配管にズレが生じると取水できず、核燃料を冷却できなくなる可能性もある。

◆手放しで安心できぬ規制委の判断

 志賀原発は2012年、直下に断層があり、これが動いて地盤のズレが生じうると指摘された。原子力規制委員会は昨年、直下断層の活動性を否定する北陸電の主張を妥当と判断した。
 ただ、手放しで安心できるかといえば、そうではないと後藤氏は説く。「周囲の断層が起こす地震によって、直下断層の動きが誘発される恐れもある」
 地震リスクの懸念が拭い去れない志賀原発。いま、何をすべきか。龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「原発が止まっているとはいえ、核燃料がプールで保管されている。金属製のキャスクに移すなどの対策が必要ではないか」と述べ、災いの元凶になりうる核燃料の扱い方について早急に議論するよう求める。
 地震リスクは他の原発にも潜むとし「現状で動いている原発も止めた上で断層の再評価など規制基準の見直しが必要だ」と訴える。

◆デスクメモ

 被災した方々を考えると、次の地震が起こらないよう願うばかり。ただ核燃料は、まだ志賀原発に。プールは揺れやズレに耐えられるか。搬出すべきか。それは可能か。事が起きた時、被災地に残る方々が避難できるのか。願うばかりでは心もとない。どう備えるかの議論も必要では。(榊)

もし志賀原発が稼働中だったら… 元京都大助教・小出裕章さんの警告

最大震度7を観測した能登半島地震の発生から間もなく1カ月を迎える。北陸電力志賀原発(石川県志賀町、停止中)は、外部電源や非常用電源が一部使えなくなり、放射線監視装置(モニタリングポスト)の一部も測定不能になるなどのトラブルが次々に明らかになった。北電側は「安全上の問題はない」と繰り返しているが、原子力安全が専門の元京大原子炉実験所助教・小出裕章氏は「10年以上運転停止していたことが幸いした」と安全性に疑問を投げかける。稼働中だった場合、今回の地震で志賀原発にどんな危険が想定されたのかを語ってもらった。(中日新聞 1月30日)
「志賀原発が運転停止中だったことが幸いだった」と語る小出裕章さん=長野県松本市で

「志賀原発が運転停止中だったことが幸いだった」と語る小出裕章さん=長野県松本市で

 能登半島地震による志賀原発の一部電源喪失 1日に石川県志賀町で震度7、1号機地下で震度5強を観測。変圧器が故障して油が漏れ、外部電源5回線のうち2回線が使用不能になった。16日の余震後には1号機の非常用発電機3台のうち1台が試運転中に自動停止した。

 -能登半島地震の発生時、志賀原発が稼働中だったら、どんな被害が出た可能性があるか。
 志賀原発が10年にもわたり停止していたことが何より幸いだった。原発の使用済み燃料は発熱しているが、10年たつと発熱量は運転停止直後に比べ、千分の1以下に低下する。今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない。
 -具体的にどのようなプロセスでそうなるのか。
 出力100万キロワットの原発の場合、原子炉の中では、ウランが核分裂して3倍の300万キロワット分の発熱をしている。大地震の際は制御棒を入れて核分裂反応を止めるが、実は300万キロワットのうちの21万キロワット分の発熱は、ウランの核分裂で出ているわけではない。それまでに生成された「核分裂生成物」が原子炉の中に膨大にたまっており、「崩壊熱」を出している。
 制御棒でウランの核分裂反応を止めても、21万キロワット分の崩壊熱は止められない。膨大な発熱だ。福島でも核分裂反応は止まったが、崩壊熱を止めることができないまま、電源が何もなくなり、冷やせないために炉心が溶けて、(放射性物質が)大量に出てしまった。
 -停止中の原発ではどうなるのか。
 核分裂生成物は約200種類の放射性物質の集合体で、寿命の長い物質もあれば、半減するまでに8日と寿命が短い物質もある。10年もたつと、発熱する放射性核種がほとんど残っていない。21万キロワット分の崩壊熱が千分の1になると210キロワット。1キロワットの電熱器200個分ぐらいを冷やせればいいことになる。仮に全電源が喪失して冷却できなくなっても、巨大な使用済み核燃料プールにつかっているわけだから、水が干上がって使用済み燃料が溶けるような事態にはならない。
 -今回、変圧器が破損した。北陸電力の耐震設計は甘かったのか。
 もちろん甘かったと指摘できる。運転中の原発で変圧器がだめでした、ということになれば、それこそ事故に直結してしまう。
 -昨年3月、原子力規制委は北電の「敷地内に活断層はない」という主張を妥当と判断し、志賀原発2号機再稼働への道を開いた。だが、そもそも原発周辺のすべての断層を正確に把握し、耐震設計をすることはできるのか。
 どこに活断層があり、活動度がどれだけだ、ということが完璧に分かれば、地震が予知できる。しかし地震を予知できた試しはかつて一度もない。今回、活断層が150キロにわたって連動した可能性が指摘されている。こういうことが起きて「想定外」だったと言う。だが、重大な結果を招く原発に関して想定外なんて言い方はしてはいけない。
 日本は国土面積が世界の0・25%しかない小さな国だが、世界の地震の1割から2割が起きている。そんな場所に57基もの原発を建ててしまったことこそ誤りだったと知るべきだ。
 今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まっていてよかったということ。100万キロワットの原発が1年間稼働すれば、広島原爆がつくった死の灰の千発分の核分裂生成物ができる。運転中に地震に襲われるのとは全然違うことを皆さんに分かってほしい。
 (聞き手・伊東浩一)

 こいで・ひろあき 1949年、東京生まれ。74年、東北大大学院工学研究科修士課程修了(原子核工学)。専門は放射線計測、原子力安全。2015年3月に京大を定年退官したのを機に長野県に移住した。

北陸電力は「想定内」

 北陸電力は、志賀原発の運転中に能登半島地震と同規模の地震が発生した場合について、「同時に全外部電源が失われても『止める』『冷やす』『(放射性物質を)閉じ込める』の安全機能を満足できる設計になっている」と強調する。
 珠洲沖の活断層が150キロにわたり連動したことについては、「これらの断層を活断層と評価し、さらに複数の断層の連動も評価している。その規模はマグニチュード(M)8・1クラスの地震を想定しており、今回のM7・6は想定範囲内の規模」と説明。震源断層については、「国や各種研究機関の報告を注視するとともに、必要に応じ今後の国の審査に適切に反映していく」としている。