米軍と合同演習に初飛来した陸自輸送機オスプレイ=16日午前、伊仙町
陸自の輸送機オスプレイ(Ⅴ‐22)は同日午前10時ごろ、同島南部・内陸部の伊仙町内の公園に回転翼機などとともに隊員輸送のための離発着訓練を展開。午後4時すぎには米軍のオスプレイも加わった。17日以降に双方の共同演習が本格化するものとみられる。
予備自衛官、訓練期間を20日に短縮検討 政府、志願者増狙う

首相官邸=本社ヘリから
政府は防衛力強化策の一環として、緊急時に自衛隊の要員不足を補う「即応予備自衛官」に就く人を増やすため、訓練期間を短縮する検討に入った。現役自衛官とともに第一線で任務に当たる即応予備自衛官は現在、年間30日の訓練が求められており、20日程度への短縮を視野に負担軽減を図り、志願者増につなげたい考えだ。 複数の政府関係者が明らかにした。予備自衛官は有事や災害時、現役の自衛官の不足を補うために任用されている。民間企業などで働きながら射撃や格闘、物資積み込みといった訓練に参加する必要がある。第一線部隊で任務につく「即応予備自衛官」は4120人(今年3月時点)で、定員7981人に対する充足率は51・6%にとどまる。後方支援などが専門の「予備自衛官」は3万3411人(同)で、定員4万7900人の充足率は69・8%。即応予備自衛官は1997年度に制度が創設されたが、緊急時に必要な人員を確保できない状態が慢性化している。 こうした状況を踏まえ、政府は訓練日数の短縮により本人の負担を軽減したり、訓練参加に対する勤務先の理解を得やすくしたりする必要があると判断。本業と両立できるよう、即応予備自衛官に求められる年間30日間の訓練を短縮する調整をしている。短縮が実現すれば制度創設以来初となる。予備自衛官は年間5日間の訓練が求められるが、この短縮も調整している。志願者を増やすための広報活動の強化や、処遇改善なども検討している。 政府は年内に予定している外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定に合わせて、防衛力の根幹となる自衛隊の要員確保策の検討を進めている。自民党議員は「有事になれば、戦闘を継続するため即応予備自衛官、予備自衛官が大きな役割を果たす」と指摘。政府は予備自衛官の増員とともに、再任用された元自衛官が就ける任務の拡大などの対策を組み合わせ、人的基盤の強化に取り組む方針だ。【川口峻】
全長248メートル、まさに「空母」 日米共同演習中、洋上の護衛艦「いずも」に乗り込む

真っ青な大海原に灰色の巨船が眼下に現れた-。14日、日米共同統合演習に伴う記者会見の取材で、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」に自衛隊機で着艦した。甲板は真っ平らで細長い。洋上に空港の滑走路がそのまま備え付けられたかのよう。まさに「空母」だ。
午前6時20分、鹿児島県鹿屋市の海自鹿屋航空基地。「バラバラ」とつんざくようなプロペラ音が響く中、陸上自衛隊の大型輸送ヘリコプターに乗り込んだ。
「現在地は作戦上教えられない」。約1時間半後、到着した艦内の一室で説明を受けた。四方見渡しても水平線が続くだけだ。案内役の自衛官によると、ヘリコプター9機を運用する同艦は全長248メートル、幅38メートル、高さ49メートル。艦内は14階あるという。ここは一体どこなのか、一抹の不安を抱えながら説明を聞き続けた。
到着から1時間20分後、記者会見に臨む防衛省制服組、在日米軍の両トップを乗せた輸送機を撮影するため甲板に戻った。体が浮きそうな強風の中、誘導する自衛隊員の厳しい表情から緊張感が伝わる。
間もなく到着した両トップはしきりに握手を交わし、笑顔で雑談した。日米同盟強化の象徴としてアピールしているように思えた。
艦内には「戦時治療所」と掲げた“有事”を意識させられる部屋も。海上保安庁の巡視船と一番何が違うのか問うと、担当者は「海保は海の警察。自衛隊は用途が違う。こちらは相手に致命傷を与える装備がある」と力強く答えた。
鹿屋基地には米空軍の偵察型無人機「MQ9」が近く配備される。基地内の格納庫では鈍い銀色の機体が着々と組み上がっている。日米同盟の最前線を肌で感じた後だったからか、帰り着いて目にした鹿屋基地は、いつもより生々しく感じた。