オスプレイ緊急着陸 3日間で5機 奄美に2機、そして石垣に2機、さらに大分に1機

オスプレイ緊急着陸 3日間で5機 民間空港周辺でも強まる不安

2023年9月20日 12時00分 東京新聞
 垂直離着陸輸送機オスプレイの民間空港などへの緊急着陸が、先月末から相次いでいる。海外では昨年来、墜落事故が3件発生しており、基地周辺の住民らに不安が広がる。10月の日米共同訓練で自衛隊のオスプレイが初めて沖縄に派遣される予定もあり、注目は高まる一方だ。短期間に続くトラブルは何を意味しているのか。(曽田晋太郎、木原育子)
沖縄県石垣市の新石垣空港に緊急着陸した米海兵隊の輸送機オスプレイ=14日午後(目撃者提供、共同)

沖縄県石垣市の新石垣空港に緊急着陸した米海兵隊の輸送機オスプレイ=14日午後(目撃者提供、共同)

 「ほぼ同じタイミングで5機も続けて緊急着陸するなんて異常。聞いたことがなく、怖いのと同時に大変遺憾で、あり得ない」
 普天間基地爆音訴訟団の玉元一恵事務局長(63)は声を荒らげる。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の米海兵隊輸送機MV22オスプレイで相次いだ緊急着陸のことだ。

◆奄美に2機、そして石垣に2機、さらに大分に1機

 まず14日午後2時過ぎ、鹿児島県奄美市の奄美空港に2機が着陸。事前の連絡はなく、直前になって国土交通省那覇空港事務所から県奄美空港管理事務所に連絡が入った。
 同日午後3時過ぎには、沖縄県石垣市の新石垣空港に別の2機が着陸。これも事前連絡はなく、直前にオスプレイの乗員から空港の管制官に着陸要請があったといい、滑走路が一時閉鎖された。
 さらに16日午後4時半ごろ、大分県国東市の大分空港に1機が着陸。滑走路が一時閉鎖され、民間機の発着に遅れが出た。
 米軍のオスプレイは先月、豪州で訓練中の1機が墜落し、搭乗員3人が死亡。昨年は3月にノルウェーで4人、6月に米カリフォルニア州で5人が死亡する墜落事故も起きている。このうちカリフォルニアの事故について、米軍は今年7月の調査報告書で、クラッチが一時的に離れて再び結合する際に衝撃が発生する「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」という現象が原因と断定。人為的ミスの可能性を否定し、機体に問題があったと結論付けたばかりだ。
 米海兵隊では今月17日にも、訓練中のステルス戦闘機F35が行方不明になる事故が発生。相次ぐ米軍機の事故を受け、海兵隊は18日、在日米軍のオスプレイも含む全機体の週内2日間の飛行停止を指示した。
 一連の緊急着陸の原因について、在日米海兵隊第1海兵航空団は取材に対し、「コックピット内で異常を知らせる警告が表示されたため。安全飛行するため、細心の注意を払って行動した結果だ。現時点でHCEに起因する故障は確認されていない」と回答した。

◆飛行停止申し入れの直後にも

 前出の玉元さんは普天間飛行場から約1キロの住宅街に暮らし、日常的に騒音に悩まされ、事故の恐怖と隣り合わせの生活を強いられている。立て続けの緊急着陸は「恐怖でしかなく、そんなことがまかり通っているのはおかしい」と訴える。
 玉元さんによると、普天間基地爆音訴訟団などは豪州の事故を受けて14日午前、日本政府や米軍に、カリフォルニアの事故の調査で不具合が認められたオスプレイの飛行停止を申し入れていた。しかし、その直後の同日午後、オスプレイ2機が新石垣空港に緊急着陸したという。
 玉元さんは「危惧していたことが実際に起きた。欠陥機をしっかり点検もせず、沖縄の上空を飛ばすなと言いたい」と語気を強める。2日間の飛行停止についても「わずか2日で安全の確認が取れるのか。不十分で、徹底解明を求めたい」と強調する。
◆陸自は「危険の未然防止」と言うが…
 オスプレイのトラブルは米軍にとどまらない。8月31日には、陸自の輸送機V22オスプレイ1機が航空自衛隊静浜基地(静岡県焼津市)に予防着陸した。
 予防着陸とは耳慣れない言葉だが、防衛省南関東防衛局地方調整課の輪瀬正展課長は「不具合の発生や気象状況の悪化など今すぐの危険な状況ではないが、危険の未然防止のために行う着陸を指す。継続した脅威や突発的な異常で速やかに着陸する緊急着陸とは緊急度が違う」と説明する。
 ただ、自衛隊のオスプレイの予防着陸はこれが初めて。エンジンの動力をローターに伝える「プロップローター・ギアボックス」内でギアなどが高速回転し、摩耗。その結果、金属片ができたことを知らせるランプが点灯し、予防着陸に至ったという。
陸上自衛隊のV22オスプレイ=2020年、千葉県木更津市で(共同)

陸上自衛隊のV22オスプレイ=2020年、千葉県木更津市で(共同)

 けが人はなかったが、部品交換や点検に1カ月半かかるとみられている。輪瀬氏は「試験飛行などの情報はまだ聞いておらず、整備中の状況」という。
 19日には、木原稔防衛相も記者会見で緊急着陸について問われ、「米側に対して、事案の原因に関する情報提供を求めるとともに、改めて安全管理を徹底するようにも申し入れをしている」と述べた。

◆10月、陸自機初めての沖縄派遣

 このような中、10月14〜31日には、陸自と米海兵隊の計6400人が北海道、九州、沖縄で国内最大規模の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」を行う予定。レゾリュート・ドラゴンは「不屈の龍」を意味し、前回の3500人規模から大幅に拡大する。
 この際、陸自はオスプレイを初めて沖縄に派遣。新石垣空港を使った負傷者輸送訓練など島しょ防衛を想定した内容になる。
 緊急着陸の続発を受け、沖縄県は13日付で防衛省にオスプレイの飛行自粛を要請した。木原氏は15日の記者会見で「日米同盟の抑止力・対処力の強化を図る重要な訓練」と拒否。陸上幕僚監部広報室も取材に対し「安全性に配慮しながら運用していく」としている。
 V22の佐賀空港配備計画に揺れる佐賀県の市民団体「みんなでSTOPオスプレイ佐賀」共同代表の山下明子さん(63)は「異常事態にほかならない。市民の命と安全を脅かしている」と訴える。
 8月29日にはV22の駐屯地建設工事を巡り、地権者のノリ漁師ら4人が工事差し止めの仮処分を佐賀地裁に申し立てたばかり。山下さんは「佐賀空港は1998年に開港したが、その際、県は覚書に『自衛隊との共用はしない』と明記した。軍用空港になれば必ず攻撃目標になるからだ。平和な有明の海を守りたい先人らの思いの結実だった」と話す。

◆「緊急」許せば、知らず生活が脅かされる

 ネットには緊急着陸(予防着陸)で危険を未然に防いだと評価する声もあるが、緊急着陸した翌々日に新石垣空港を訪れた沖縄大の高良沙哉教授(憲法学)は「民間空港に当たり前のようにオスプレイが止まっていて平和な石垣の景色ではなかった」と話す。「緊急着陸が頻発すれば、緊急ならばやむを得ないかと無意識に譲歩する。知らず知らず生活が脅かされている」と危機感を募らせる。
 沖縄国際大の前泊博盛教授(日米安保論)も「沖縄でなぜ訓練が増えているのか理由が全く見えない。『台湾有事』と言って米軍に乗せられ、こちら側から仕掛けている」と指摘。今回の緊急着陸を「不時着」と呼んだうえで、「不時着が繰り返され、『またか』と感覚を慣らされ、声を上げられなくしている。日本政府は不時着がこれだけ頻発しても飛行停止はおろか不時着原因の調査や再発防止策も米軍に求めない。国民の命を軽視していないか」と訴える。

◆デスクメモ

 玉城デニー知事が演説で沖縄の過重な基地負担を訴えたのは、国連人権理事会。「平和が脅かされている」状況は、平和のうちに生存する権利も侵害されているといえる。そんな島に、さらに基地負担を上乗せする動きに納得が得られるわけがない。日本の人権水準が問われる局面だ。(本)

木更津オスプレイ 訓練中に緊急着陸 オスプレイは古かろうが新しかろうが、エンジンとプロペラをつなぐ、ギアボックスに欠陥

4日前には米海兵隊オスプレイが墜落
木更津駐屯地所属の陸上自衛隊オスプレイV-22はが8月31日、静岡県焼津市の航空自衛隊焼津基地に緊急着陸(予防着陸ともいう)しました。緊急着陸とは、これ以上飛ぶと墜落するので、それを避けるための「緊急避難」的措置といえます。
そのわずか4日前の8月27日、オーストラリアで米海兵隊オスプレイMV-22が墜落、3人が死亡し、5名が重傷を負っています。

ギアボックスに金属片
今回、静岡での自衛隊オスプレイの緊急着陸の原因は何か。報道によれば、エンジンの動力をプロペラへ伝える、ギアボックスに金属片が出来たというものです。防衛省は「(オスプレイの)設計上の問題ではなく、運用上一定程度生じる部品の摩耗」なので、V-22オスプレイの運用を続けると言っています。
思い起こせば、木更津駐屯地にV-22が2020年7月10日、はじめて飛来して「暫定配備」がスタートしました。その1号機が「潤滑油に金属粉が混入した」ため飛行を6ヶ月中止して、点検に入りました。
オスプレイは古かろうが新しかろうが、エンジンとプロペラをつなぐ、ギアボックスに欠陥があることが証明されています。

頻発する墜落死亡事故
米軍は6月アメリカで、5名が死亡した墜落事故は、エンジンとプロペラをつなぐ装置で「ハードクラッチ・エンゲージメント」(エンゲージメントとは焼き付きという意味)が原因と結論づけました。すなわち、オスプレイは構造的な欠陥があることを認めたと言うことです。
アメリカや、オーストラリア、ヨーロッパで頻発する、オスプレイの墜落死亡事故と、今回の静岡の「緊急着陸」とどこが違うというのでしょうか。こうした事故は、全て、戦争のための訓練中においています。
木更津V-22オスプレイの飛行をただちに中止せよ!
欠陥機オスプレイいらない!
佐賀にもいらない! 日本(世界)のどこにもいらない。
木更津オスプレイの「暫定配備」を撤回せよ。