防衛力の強化、国民は認めたのか? 「守りに徹する」はずが…先島の容認派も不信感(沖縄タイムズ1・29)

2014年の集団的自衛権容認は閣議決定で済ませたが、15年の安保関連法では国会審議に200時間以上を割いた。今回の3文書は国会を「素通り」した。 「寝耳に水」の事態は配備が進む南西諸島でも起き、…

 

1月28日 極寒の中、千葉駅で街宣

hdr

(東京新聞) 台湾有事 民間の被害避けられないのに触れない米有力シンクタンクの机上演習

 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が公表した台湾防衛の机上演習。双方に多大な犠牲が生じる衝撃のシミュレーションだが、米軍基地周辺などで当然予想される住民の死傷者には触れていない。沖縄県に離島防衛の「海兵沿岸連隊(MLR)」を置く計画には、軍民一体の戦闘でおびただしい命を失った県民が憤る。民間人の被害を避けられない戦争を、国民は甘受できるのか。(岸本拓也、中沢佳子)


◆成功しても日米で何千人もの軍人死亡

 米軍の元幹部や軍事専門家らによるCSISの机上演習は、2026年に中国軍が台湾に侵攻したことを想定して行われた。米軍や日本の関与度合いなどに応じて計24通りのシナリオを用意。ほとんどの場合で、中国の台湾制圧が「失敗する」と結論づけた。
 最も可能性が高いとされる基本シナリオでは、中国軍の死傷者は2万2000人に上り、3万人以上が捕虜となると指摘する。一方で、台湾防衛に成功しても「日米両国は、何十隻もの艦船、何百機もの航空機、そして何千人もの軍人を失う」と、双方に甚大な被害が出ることを予想している。
 具体的には、米軍は2隻の原子力空母と最大20隻の艦船が撃沈され、最大372機の航空機を失い、最大1万人の死傷者が出る。在日米軍や自衛隊の基地が攻撃された際に参戦する想定の自衛隊も、112機の航空機と26隻の艦船を失うとした。

◆日米首脳会談直前の発表 米中対決に組み込む意図?

 分析の特徴は、日本を台湾防衛の「要」と位置付けていること。台湾が単独で応戦した場合や、日本が中立を保って在日米軍基地の使用を認めない場合は、台湾防衛に失敗するとした。日米政界に影響力を持つCSISの報告書が発表された9日は、13日の日米首脳会談の直前。日本を対中対決に組み込む意図が働いているのでは、との見方も出ている。
13日、米ワシントンのホワイトハウスで、バイデン大統領(右)の歓迎を受ける岸田首相=AP

13日、米ワシントンのホワイトハウスで、バイデン大統領(右)の歓迎を受ける岸田首相=AP

 報告書は「日本国内の基地を戦闘に使用する必要がある」と説き、台湾に近い嘉手納(沖縄県)をはじめ、岩国(山口県)、横田(東京都福生市など)、三沢(青森県)の各航空基地に言及した。
 さらに「日本の航空機の大半が地上で失われる」として、沖縄や本土の在日米軍基地が中国軍からミサイル攻撃を受けると想定。日本の民間空港を軍が使用し、戦闘機がミサイル攻撃を受けるリスクを「分散化」する効果を強調する。「地元の政治的な反対で妨げられるかもしれないが、大きな見返りがあり、強力な取り組みが必要だ」とした。
 「分散化」が意味するのは、米軍や自衛隊の基地のみならず、民間空港も攻撃の対象となるということだ。しかし、基地や民間空港の従業員や周辺住民といった民間の被害についてはほぼ言及していない。

◆全面戦争や核使用リスクの分析なし

そもそも今回の分析は、台湾有事勃発から1カ月ほどを想定したものに過ぎない。長期化し、核兵器の使用や原発への攻撃、他国の参戦など、事態がエスカレートしていくリスクは分析していない。

◆軍事的対立を避ける外交戦略もなし 沖縄が再び「消耗品」に

 CSIS報告書の公表から間もない11日、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、MLR創設が掲げられた。南西諸島防衛を見据え、沖縄県に駐留する米海兵隊を改編。対艦ミサイルなどを備え、機動的に動く部隊という。有事の際の空港や港湾の柔軟な使用、米軍嘉手納弾薬庫地区(沖縄県)で火薬庫を共同で使う方針も唱えた。
 一方、日本は宮古島(同)に地対艦ミサイル部隊の配備を進めている。敵基地攻撃能力(反撃能力)として米国製の巡航ミサイル「トマホーク」を購入し、2026年度中の配備も計画する。

 「日本の防衛政策が国会で議論されず、2プラス2で決められるのもおかしい。軍事的対立を避ける外交戦略もない。一体、誰を何から守るためのものなのか」。米国の戦略に呼応するかのような動きに、沖縄国際大の前泊博盛教授(日米安保論)は危機感を募らせる。

 軍事拠点は攻撃される危険をはらむ。多数の民間人を巻き込んだ、太平洋戦争の沖縄戦が再現されかねないと前泊氏は危ぶむ。「沖縄が再び『消耗品』にされる。なぜ沖縄が戦場になる前提で進むのか。それに、有事となれば、沖縄県民だけが死ぬわけじゃない。国民みんなが当事者意識を持たなくては」

◆標的になる恐れは首都圏にも

 確かに、標的になりかねないのは首都圏も同じ。CSISの報告書には、台湾有事に横田基地などから参戦する想定もある。2プラス2では、横浜市の米軍の輸送拠点「横浜ノースドック」に、小型揚陸艇部隊を配備することも発表。NPO法人「ピースデポ」の湯浅一郎代表は「ノースドックは市街地に近く、攻撃されれば市民に甚大な被害が出る」と指摘する。
 湯浅氏は、米軍の戦争を支えるのが横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備した原子力空母を核とする空母打撃群や、佐世保基地(長崎県)の強襲揚陸艦、岩国基地の空母艦載機、そして沖縄の海兵隊だと説明。「横浜の部隊は佐世保と連動し、小回りの利く部隊として物資や人員を運ぶだろう」とみる。
 軍事力がもたらすのは安全ではなく戦争。それが湯浅氏の考えだ。「軍事力で安全を保障する考え方では、国民を守れない。軍事的緊張を高め、軍拡競争になり、戦争を引き寄せる」

◆軍事力より外交力で戦争回避を

周囲を市街地に囲まれた横田基地=2018年、本社ヘリ「おおづる」から=東京都で

周囲を市街地に囲まれた横田基地=2018年、本社ヘリ「おおづる」から=東京都で

 台湾有事となれば、米軍は在日米軍基地から出撃し、反撃を受ければ民間人も被害に遭う。昨年11月、外交の多様化を図る民間シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」は「戦争を回避せよ」との政策提言をまとめた。「抑止力強化一辺倒の政策で戦争を防ぎ、国民を守ることができるのか」と問いかけ、軍事力より外交力で戦争を回避するよう説いた。
 日中外交が決定的に足りず「首脳外交や危機管理はもちろん、各省庁の全分野が持つパイプを強化し、恒常的に対話の場を持つことが必要だ」と促す。
 米軍の在日米軍基地使用には、日本との事前協議が必要との日米合意がある。猿田氏は対米外交に必要な視点をこう訴える。「有事の在日米軍基地からの出撃も、日本が必ずしも受け入れるわけではないと伝えるべきだ。国民保護のためには、米国にも言うべきことは言わねばならない」

大軍拡・大増税を許すな!

防衛予算の2倍化!5年間で43兆円増

昨年も押し詰まって、岸田文雄首相がにわかに軍事費増を言い出しました。
「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えて、トマホークを100発買うと宣言し、「軍事費を子どもたちの世代につけ回しすることはできない」と言いつつ、増税と建設国債などの流用を正当化しようとしています。
ウクライナ戦争や米中台の緊張、朝鮮のミサイル実験を口実に「日本を守るため」の選択として、「軍事力増による安全保障が必要だ」と主張しています。

*政府は来年度予算案の防衛費にアメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入費用として2100億円あまりを計上する方針

中国に対抗する軍事力を持つには、軍事費2倍どころではすまない

しかし、日本の10倍の経済力を持つ中国に対抗する軍事力を持つと言うことは、とても軍事費2倍では済みません。反撃したとしてそれで紛争を収めることなど不可能です。現代世界では軍事力を増大させて安全を保障するという発想はもう通用しません。
岸田首相は「国を守るために増税が必要」と言っていますが、本気で金で平和が買えると思っているとしたら危険です。日本だけの平和を考え、日本の軍事力増がどのような事態をもたらすのか!

不安をあおり、何10兆円の税金を投入しても、かえって戦争の危険性を高め、1000兆円もの借金を更に増やすだけ!

脅威だと妄想して、不安をあおり、単純化してもっともらしい「説明」をする。その結果については何の保証もありません。
何10兆円という税金を投入しても、その結果が保障されるわけではありません。1000兆円もの借金を抱えてどのような政策をすすめるか、真剣に考える必要があります。

戦争反対の声を上げよう

「敵基地攻撃能力」、ミサイル配備――これは私たちの日常の感覚や生活を一変させる重大な問題です。
物価高、貧困拡大の中、医療・福祉を切り捨て、軍拡をどんどん進め、戦争への道をつき進むことを阻止しなければなりません。戦争反対の声を上げよう。
オスプレイ木更津配備に反対しよう!