オスプレイ飛行停止を 木更津の市民団体、「事故の調査報告で、ヒューマンエラーではなく構造的欠陥と分かり、その後も事故や『予防着陸』と称した緊急着陸が相次ぐ。新しい状況の中、『安全を確認して』という段階ではなく、飛行停止を求めるしかないとなった」

木更津駐屯地に暫定配備されているオスプレイ

木更津駐屯地に暫定配備されているオスプレイ

 千葉県木更津市の陸上自衛隊木更津駐屯地に暫定配備されている陸自V22オスプレイを巡り、同市の市民団体が4日、渡辺芳邦市長宛てに要請書を提出した。2020年7月に暫定配備が始まって以降は安全性の確保を中心に訴えてきたが、相次ぐ事故や緊急着陸を受け、初めて飛行停止の要請に踏み込んだ。同日、木原稔防衛相にも同じ文書を速達で郵送した。(山本哲正)
 提出したのは「オスプレイ来るな いらない住民の会」。要請書は、昨年6月、米国カリフォルニア州で起きた米海兵隊MV22オスプレイの墜落事故に言及。陸自V22の飛行停止のほか、MV22をはじめとする米国の全オスプレイの飛行停止を米軍に申し入れることも、防衛省と木更津市に求めている。
 また、住宅地上空の飛行や低空飛行、騒音などにより、住民から生活不安の声が寄せられるとし、「コストコ周辺など商業施設上空での低空飛行をやめて」「住宅上空で(高速移動や垂直離着陸などの)モード転換をしないで」との訴えも付した。
 同駐屯地では17年2月から米海兵隊MV22オスプレイの定期機体整備も行われている。昨年6月のMV22墜落事故の調査報告書は今年7月に出たが、その後の8月27日、オーストラリア北部ダーウィン沖で新たにMV22が墜落。搭乗してい3人が死亡した。
 木更津市によると、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のMV22では9月14日に4機、16日、21日に各1機が奄美空港(鹿児島県)などに予防着陸した。8月31日には陸自V22が空自静浜基地に予防着陸をした。原因とされたギアボックスの交換作業が進められ、10月10日以降に静浜基地周辺の洋上で試験飛行し、11日以降に木更津駐屯地に帰投する予定という。
 住民の会の前事務局長・野中晃さんは「事故の調査報告で、ヒューマンエラーではなく構造的欠陥と分かり、その後も事故や『予防着陸』と称した緊急着陸が相次ぐ。新しい状況の中、『安全を確認して』という段階ではなく、飛行停止を求めるしかないとなった」と背景を語る。
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 住民の会の動きとは別に、木更津市も2日、V22など航空機の安全対策の徹底などを求める要望書を防衛相らに宛てて提出。(1)(駐屯地を取り囲むように設定してある)場周経路での飛行訓練で可能な限り高い飛行高度の維持(2)夜間飛行は必要最小限に(3)重要な観光資源の潮干狩りには最大限の配慮を(4)V22の暫定配備期間は配備開始から「5年以内を目標」とした合意を守ること-などを求めている。

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