「60点解雇基準」なんてなかった。障がい者が「健康でない」と解雇した宮本市長

 

習志野市の宮本市長が障がい者を「能力不足」で解雇してから1年
障がい者の「健康度」まで評価し、「能力不足」と決めつけた宮本市長に批判広がる

習志野市の宮本泰介市長が「障がい者枠で採用した」Aさんを「能力不足」と決めつけて解雇してから1年がたちました。解雇撤回を求める署名は900筆をこえ、解雇撤回の声は大きく広がっています。Aさんは昨年、解雇撤回を求めて千葉地方裁判所に提訴しました。4月7日に行われた第3回口頭弁論も、70の傍聴席がすべてうまり、社会的にも大きな注目が集まっています。しかも、裁判の進行とともに、今まで習志野市が隠していた様々な事実が明らかとなっています。とくに、障がい者の「健康度」までも評価対象にして能力不足としていたことに、驚きと怒りの声があがっています。

■「60点に達しなければ採用しない」には何の根拠もなかった!

宮本市長は、Aさんを「能力不足」で解雇したのは、「課長が書いた勤務実績報告書で60点に達しなかったから」と言っていましたが、「60点解雇基準」には何の法的根拠もないことが裁判の中で明らかになりました。4月7日の裁判でAさんの弁護士が「60点という基準に法的根拠はあるか?それともこれまでの慣例として60点なのか?」と問いただしましたが、習志野市の弁護士は「成文化されたものはない。だが基準である」と繰り返すのみ、「基準だから基準だ」と言うだけで、何の根拠も示せませんでした。習志野市に就職して、条件付き採用期間(試用期間)で解雇されたのはAさんが初めて。今まで「60点に達しなかったから解雇」された例などないのに、Aさんを解雇するために勝手に持ち出した、職員の誰も知らない「基準」だったのです。

■抽象的であいまいな「評価」項目。上司の価値観や気分で一方的に評価

解雇の唯一の根拠書類なのに、今まで墨塗り(のり弁状態)で内容をひた隠しにしていた「課長が書いた勤務実績報告書」は、裁判所の指示で、ついに開示されました。勤務実績報告書は、「仕事の正確さ」「責任感」「勤勉」「健康度」など17項目を5段階で評価するというものです。しかも「勤勉」の項では、「極めて不まじめで何の役にもたたない」「不まじめで陰日向があり勝手に席をはなれたり雑談したりする」、「健康度」の項では「あまり健康でない」「大体健康である」など、評価者の気分でどうにでもなるようなあいまいな表現ばかり。しかも上司の所見欄には「担当業務について一人で処理できず他の職員に聞くことが多く」とか「シャツが出ていたり、ネクタイが曲がっていたり…社会人として不適格…条件付解除には値しない(注:クビにしろ、ということ)」などと記入しています。就職したばかりで仕事を覚えるのに必死な新人が、わからないことを「他の職員に聞く」のは当たり前ではないでしょうか?きちんと指導育成しようとしない課長の「能力」は棚に上げて、こんなはずかしい内容の書類一つで「障がい者」として採用した青年の未来を奪ってしまったのです。

■Aさんを解雇するために、わざと最低評価にしていた。そして監視記録

開示された、課長による「勤務実績報告書」は、Aさんを解雇するために作成したようなもので、Aさんの人格を全面否定する「評価」が平然と行われているのです。例えば、「協調性」では「独善的で他人の意見を無視している」と評価し、「信頼性」では「まかせることは全くできない」と評価し、「態度」では「礼儀にかけ常にだらしがない」と評価しています。ほぼすべての項目で最低評価が行われています。「新人の障がい者を職場で受け入れ、きちんと育成していこう」という姿勢はみじんもありません。私たちは、Aさんと出会って1年。現実のAさんと市当局の評価とのあまりのギャップに驚きます。こんな人権侵害の「評価」が裏で行われていたことにも驚きます。しかも、クビにする口実を見つけるため、3か月にわたってAさんを一日中他の職員に監視させ、「ネクタイが曲がっていた」「あくびをしていた」などの膨大な量のアラ探し監視記録を作っていた、ということも明らかになりました。人間性を見失った習志野市。はずかしくないのでしょうか?

■障がい者を「あまり健康ではない」と評価して解雇

さらに許せないのは、「健康度」について、Aさんを「あまり健康でない」と評価していることです。障がい者のAさんを「あまり健康ではない」と決めつけ、それすらも「能力不足」の一つにしていたことが明らかになったのです。宮本市長の人権感覚のなさには、本当に驚きます。ここには、障がい者を雇用し、ともに働き、ともに生きていこうという姿勢が全くありません。実際、習志野市の総務部長は「障がい者だからと言って特別の配慮はしない」と公言しています。「能力不足の障がい者は解雇して当然」という宮本市長。人間に対する優しさや愛情、障がい者とともに働き、ともに生きようという、人間にとって大切なものを捨て去った市政。暗澹たる気持ちになります。
あいまいな内容の17項目で人間を一方的に評価し、効率や成果ばかりをもとめ、一人一人の人間を大切にしない宮本市長。障がい者の健康までも評価対象として、「健康でないから能力不足」という宮本市長。私たちは、障がい者を能力不足で解雇した宮本市長に対して、人間として当たり前の怒りの声をあげ、人間が人間らしく生きられる社会、習志野市をつくりだしていきたいと思います。ともに声をあげましょう。

 次回裁判 6月13日(火)13時30分 千葉地裁601号法廷  ※傍聴券配布のため13時15分までに千葉地裁においでください。

 解雇問題や障がい者問題について一緒に考えてみませんか? 「習志野市障がい者雇用を求める会」(準) 毎月おしゃべりや交流を行っています。

 次回は4月26日(水)18時30分~ 菊田公民館

 「習志野市障がい者雇用を求める会」にご参加ください。ホームページで、これまでの新聞記事やビデオなどをご覧になれます

習志野市障がい者雇用を求める会(準)
ホームページ http://mayday.sub.jp/n.koyou/
(連絡先)電話047-429-8335 メールunion5nara@yahoo.co.jp

 

 

 

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