解雇取り消し訴訟 終結 (2018/6/6読売)

習志野市に障害者枠で職員採用され、能力不足を理由に解雇された男性(30)が市に解雇の取り消しを求めた訴訟について、市は5日、男性が訴えを取り下げて終結したと明らかにした。
 男性は2016年10月に提訴。昨年4月に第3回口頭弁論が開かれて以降、裁判は男性側の都合で中断していた。先月21日に訴訟の取り下げ書が千葉地裁に届き、市は2週間以内に行うことができる取り下げへの異議申し立てをしなかった。

習志野市解雇訴訟 障害男性取り下げ (2018/6/6東京:全国版)

 千葉県習志野市に正規職員に採用され、試用期間終了直前に解雇された障害者の男性(30)が、市に解雇の取り消しなどを求めた訴訟で、市は五日、男性から訴訟の取り下げ書が千葉地裁に提出され、訴訟か終結したと発表した。
 訴状などによると、男性は生まれつき左足か不自由で、障害者手帳4級の認定を受け、2015年6月に障害者枠で採用された。試用期間か終わる直前の16年2月に解雇され、同年10月に提訴していた。
 市によると、男性は取り下げ書で「処分を過去のことと受け入れざるを得ない。社会の中で新しいスタートを切って頑張っていきたい」としているという。

障害者解雇訴訟訴えを取り下げ 原告の男性(2018/6/6朝日)

習志野市に障害者枠で採された同市の男性(30)が、試用期間の終了と同時に解雇されたのは不当だとして、解雇の取り消しなどを求めた訴訟で、原告の男性が訴えを取り下げた。被告の市は異議申し立てをしないことを4日に決め、訴訟は終結した。
 男性は生まれつき左足が不自由で2015年6月に採用され、試用期間が終了した16年2月に解雇された。同年10月、「市が配慮義務を果たさずに解雇したのは違法」などとして提訴。市や支援者らによると、男性は5月21日、千葉地裁に取り下げ書を提出したという。

 

解雇予告手当、習志野市が総務省見解に反する結論(2017/6/13朝日)

習志野市が障害者枠で採用した男性(29)の解雇予告手当を解雇後に支払ったことについて、市は顧問弁護士と精査した結果として、「市の退職手当条例に基づいた手続きで適法」との考えを                                            
あらためて示した。12日の市議会一般質問で宮内一夫市議(新社会党・無所属の会)の質問に市側か答えた。総務省は「労働基準法と市条例の双方適用のため、解雇日と同日に支払う必要がある」との見解を市側に示し
ており、同省給与能率推進室は「見解が受け入れられないのは異例」としている。


    

「差別受けた」3割超 障害者差別解消法1年(2017/4/13報道)

障害者差別解消法1年 共生なお遠く

障害者差別解消法は、障害のある人もない人も共に生きる社会の実現をうたっている。しかし、その趣旨が行き渡っておらず、障害者が暮らす上での「壁」が依然として多い実態が浮かび上がった。
 この一年間で社会がどう変わったかを尋ねた設問では、「良くなった」が27人(21・9%)だったのに対し、「悪くなった」が6人(4.8%)、「変わらない」は86人(69.9%)だった。
 この一年間で差別的な扱いを受けたかどうかについては、「ある」が43人(34.9%)、「ない」が79人(64.2%)だった。
 差別的な扱いを受けた場所を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのが「民間施設」 (飲食店や商店、映画館、ホテルなど)で、21人が回答した。以下は②「交通機関」 (駅や電車、パス、タクシーなど)と「その他」が各15人④「公共施設」(役所や体育館、文化施設など)が10人⑤「医療機関」が7人⑥「職場や学校」が5人-と続いた。
 同法は国や自治体に対し、負担が重すぎない範囲で障害者に対応する「合理的配慮」を義務付けているが、役所など公共施設であった差別的扱いの実例が複数寄せられた。厚生労働省が昨年11月、障害福祉政策に関する審議会を都内で開催。しかし、階段を通らなければ入れない会場だったたため、庫いすの男性委員(61)が参加できなかった。同省の担当者は取材に「会場の下見を怠っていた。不適切だった」と話した。

習志野・正式採用基準を明文化せず(2017/4/8報道)

習志野・正式採用基準を明文化せず 

 習志野市に障害者枠で採用され、試用期間後に解雇された元職員の男性(29)が処分取り消しなどを求めた訴訟の第3回口頭弁論が7日、千葉地裁(阪本勝裁判長)であった。試用期間中の勤務実績報告書(100点満点)で60点とする正式採用の基準について、市側は「報告書の各項目の中間点を合計した点数。明文化されたものはなく、昭和50年代から踏襲している」と説明。男性の評価は介護保険課で34点、総務課で28点だったため解雇したと主張した。

 

採用基準の根拠「成文化されず」(2017/4/8報道)

採用基準の根拠「成文化されず」
 解雇訴訟で習志野市

 習志野市に障害者枠で採用された同市の男性(29)が、試用期間終了と同時に解雇されたのは不当として、市に解雇取り消しなどを求めた訴訟の第3回口頭弁論が7日、千葉地裁であった。市側は「勤務実績報告書」で60点とする本採用基準点の根拠について、「成文化されていないが、昭和50年代から基準として使われてきた」と述べた。
 前回の口頭弁論で市側は解雇理由について、報告書の採点で「男性は基準の60点に達しなかった」とし、阪本勝裁判長や男性側から具体的な根拠を示すよう求められていた。市側によると、報告書は17項目からなり、各採点の中問点を積み上げると60点になるという。

 

習志野市の職員解雇問題、市の姿勢ただす(2018/3/8報道)

習志野の職員解雇問題、市の姿勢ただす 

習志野市が障害者伜で採用した男性(29)を試用期間終了と同時に解雇した問題が、7日の同市議会一般質問で取り上げられた。本人に未公開の勤務実績報告書や、職務遂行能力の指導不足などが指摘され 「解雇は裁量権の乱用だ」として市の姿勢をただした。 
 立崎誠一(民意と歩む会)、谷岡隆(共産党)両議員が質問した。谷岡氏は「他市と比べても評価基準があいまいで、改善可能性の追求や解雇回避義務努力が不十分だ」と追及した。
 宮本泰介市長は「法令に基づいており、権限を乱用していない。勤務評価も他市と比べても遜色なく適正にしている。研修、指導などにより改善可能性も考慮している」と述べた。

 

 

 

総務省見解は「指導でない」と習志野市(2017/3/2報道)

総務省見解は「指導でない」
習志野市、職員解雇手当巡り
   習志野市が障害者枠で採用した同市の男性(29)の解雇予告手当を解雇後に支払ったことについて、総務省が「労働基準法と市条例の双方を適用させるには、解雇日と同じ日に支払う必要がある」との見解を市に伝えたことに対し、市は「総務省の意見であり、瑕疵があるとの指導ではない」との考えを示した。

  1日の市議会一般質問で宮内一夫市議(新社会党・無所属の会)の質問に市側が答えた。市退職条例では、解雇予告手当は退職金に含んで支給することとし、退職から1カ月以内とされている。市は「総務省が適法と認めた市退職条例に基づく手続きであり、問題ない」とした。

  男性は、試用期間の終了と同時に解雇されたのは不当として、市に解雇の取り消しなどを求めて提訴している。この日は央重則市議(環境みらい)が市の訴訟対応について質問したが、市側は「係争中のため答弁できない」とした。

 

解雇予告手当「解雇日に支給を」国が見解(2017/2/22報道)

 

解雇予告手当「解雇日に支給を」
習志野市に国が見解
 習志野市が障害者枠で採用した男性(29)を解雇した際、解雇予告手当を解雇後に支払っていた問題で、総務省が「労働基準法と市条
例により、解雇日と同じ日に支払う必要がある」とする見解を、市に伝えていたことがわかった。市はこれまで、「法令、条例に基づいた手続きをしてきた」と繰り返し説明してきた。
 男性は、2015年6月に採田され、試用期間中の16年2月22日、勤務成績不良を理由に、同期間満了の同29日付解雇を言い渡された。
 地方公務員の解雇は、民間企業と同様に労基法の条項が適用される。解雇言い渡しは30日以上前か、解雇まで30日に満たない日数分
の賃金を予告手当として支払う必要がある。支給日は労基法では解雇日まで、市退職手当条例では退職金に含んで支給することにし、退職から1ヵ月以内とされている。
   市は退職の場合、翌月の給料日に退職金を支給しており、解雇した男性にも通常と同様に翌月の給料支給日に当たる16年3月18日に口座振り込みで支給した。
 これに対し、宮内一夫市議(新社会党・無所属の会)は同市議会一般質問などで「予告手当は解雇日までとする労基法違反に当たる」と再三指摘した。
 市から照会を受けた総務省給与能率推進室は「予告手当は、国の通達で退職までに支払う定めがある。労基法が条例より優先されるが、1ヵ月以内に支給する市条例の双方を適用させるには、解雇日と同一日に支旦払う必要がある」と判断した。
 市は対応策を協議しているが、宮内氏は「市は解雇手続ぎの過失を認め、解雇撤回や休業補償問題を真剣に考えるべきだ」として、21日開会の定例会で、市の姿勢をただすという。
     ◇
 習志野市議会は21日開会した。仮契約が遅れていた複合施設などを造って7館8施設を3館に統廃合し管理、運営する大久保地区公
共施設再生事業契約など23議案が提出された。民間資金を活用するPFI方式で、23年間にわたる契約金額は72億3589万円。一般質問は3月I~3日、同6~8日。会期は同24日まで。 (佐々木和彦)

 

習志野市の障害男性 解雇から1年(2017/2/18報道)

「市民のために働きたい」
習志野市の障害男性 解雇から1 

習志野市に障害者枠で正規採用された男性(29)が昨年二月、「能力不足」を理由に、試用期間終了直前に解雇されてから間もなく一年。男性は千葉地裁に起こした解雇取り消しなどを求める訴訟で、市側と全面的に争っている。「この一年、市民のために働きたい、という原点は忘れなかった。障害者の支援に関わる業務に就き、すべての人が暮らしやすいまちづくりを進めたい」。職場復帰への強い意志が男性を動かしている。(服部利崇) 

千葉地裁で市と係争中 復帰への思い強く
 男性は左足が生まれつき不自由で4級の障害者手帳を持つ。「二時間も立っていられず、人より歩くのに時間がかかる」
 障害者枠で募集していた習志野市の試験に合格。試用期間として、二〇一五年六月から介護保険課で半年、総務課で三カ月働いた。
 市から解雇を言い渡されたのは、試用期間終了の一週間前の昨年二月二十二日。関西方面から呼び出された母親(60)も同席した。男性は「自分一人で聞きたかった。母の前で息子を『能力不足』と言うなんて信じられない」と憤る。男性は正規職員になれず、同月二十九日付で解雇された。 

撤回へ支援の輪広がる 

 市は解雇理由に能力不足をあげる。市側が千葉地裁に提出した準備書面などによると、上司に反抗的な態度を取り、ミスを繰り返し処理も遅かったという。
 男性は取材に、口答えの事実を認めた上で「目上の人への言葉遣いではなかった」と反省する。一方で、「能力不足」は納得いかない。「新入社員で至らない点はあったが、精いっぱいして遅かっただけ。人より時間がかかることが解雇理由になるのはおかしい」と訴える。
 男性を支援する輪は広がっている。昨年七月に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で四十六人が殺傷された事件を受け、障害者問題に関心が高まったことも、支援を後押しした。男性を支える市民レベルの団体も近く発足するという。解雇撤回などを求める署名も行っており、六百筆を超えた。男性は「いろんな人が助けてくれた。職場に戻りたい気持ちがさらに強くなった」と話す。
 男性は関西方面出身だが、習志野市に残り職場復帰をめさしてきた。週一回、署名集めで街頭にも立つ。この一年、障害を理由に職を奪われたりした人たちから励ましを受けたという。「境遇が同じ人も多いことが分かった。そういう人たちの思いも背負って裁判に勝ちたい」 

2回弁論 市は解雇正当主張

 十七日には男性の解雇を巡る訴訟の第二回口頭弁論が千葉地裁で開かれた。弁論では、被告の市側が準備書面を提出。原告側の代理人によると、市側は、男性の仕事ぶりを「業務量は少ないのに処理が遅く、間違いが多い」と指摘した上で「新規採用に加え、障害があることを考慮し指導したが、改善しなかった」とし、解雇は正当と主張したという。
 閉廷後、原告側の山本志都弁護士は「市が指摘したのはさまつなことや、注意すれば改善できることばかり、職務執行に重大な影響を与えるものでなく、これを理由とした解雇はおかしい」と話した。
 裁判の始まる前には、支援者ら約三十人が千葉市内中心部を三十分ほどかけてデモを行った。

東京新聞2017/2/18千葉中央版 掲載

千葉地裁第一回訴訟(2016/12/10報道)

東京新聞2016/12/10 千葉中央版 掲載

「障がい者の雇用差別」
習志野市解雇訴訟 初弁論で男性訴え

習志野市に正規職員で採用され、試用期間終了直前に解雇された障がい者の男性(29)が市に解雇の取り消しなどを求めた訴訟の第一回口頭弁論が九日、千葉地裁であった。男性は意見陳述で「九カ月での解雇は乱暴で、これでは障がい者の差別のない雇用はいつまもでも実現されない」と訴えた。被告の市側は全面的に争う姿勢を示した。
男性は「母の前で解雇予告通知をされ、絶望に陥っていたが、いろいろな人からの励ましで、また市民のために働きたいと思った」とも述べ、職場復帰を強く求めた。
訴状によると、生まれつき左足が不自由な男性は昨年六月、障がい者枠で一般事務職で市に正規雇用された。九カ月の試用期間が終わる直前の今年二月末に解雇された。障がい者という理由での不当解雇だと主張している。
被告側は答弁書で「障がい者であることが理由ではなく、勤務成績不良で正式採用とならなかった」と反論している。
閉廷後、千葉市内で報告集会が開かれ、支援者約八十人が、男性にエールを送った。障がい者団体「『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム実行委員会」の横山晃久委員長(62)は「障がい者差別解消法があるのに、なぜこんな事が起きるのか。泣き寝入りせず闘おう」と話した。(服部利崇)

障害者男性 習志野市を提訴(2016/10/12報道)

 

東京新聞2016/10/12千葉中央版 掲載

障害者男性習志野市を提訴
市民のため働きたい
代理人「市、環境づくり怠った」
習志野市に採用され試用期間の終了直前に解雇された障害者の男性(二八)が十一日、障害者という理由での不当な解雇だったとして、市に解雇取り消しなどを求める訴えを千葉地裁に起こした。提訴後の記者会見で男性は「未熟な点はあったが、一生懸命働いていると訴えても、評価してもらえなかった。裁判で解腰取り消しが認められたら、習志野市民のために働きたい」と話した。
生まれつき左足が不自由な男性は小甲高校と普通学級に通い、昨年春に関西の大学を卒業した。「利益を追求せず、人のために働ける」と公務員を志し、障害者枠の一般事務職員を募集していた市に応募。筆記試験と面接に合格し、昨年六月から正規雇用された。
男性は半年間の試用期間一中、介護保険課でデータ入力や窓口対応などを担当。接客が苦手で入力ミスもあったため、試用期間が三ヵ月延長された。その後、総務課では国勢調査の事務、会議の設営・記録などを担当。先輩や上司のアドバイスに耳を傾け「大きなミスなくできた」との実感はあったが、今年二月末に解雇された。
男性は労働組合「ユニオン習志野」の支援を受け、復職を求めたが、労使交渉は不調に終わった。金銭での和解などではなく復職が目的のため、男性は「裁判で勝つしかない」とアルバイトで生計を立てながら、提訴の準備を進めてきた。
男性は「障害があっても、できることはいっぱいある。自分が復職することで、差別されたり、いじめられたりしている障害者のためになる」と言葉に力を込めた。
会見で代理人弁護士の山本志都弁護士は「障害者枠で採用され、新任であることが考慮されず男性は解雇された。能力不足を理由として障害者を解雇できる前例を作った習志野市は罪深い。障害者を同僚として受け入れ、一緒に働ける環境づくりも怠った。解雇は違法で取り消されないといけない」と話した。
(服部利崇)

 

障害者解雇問題で市長に話し合い申し入れ(2016/9/21報道)

毎日新聞2016/9/21千葉版 掲載

障害者解雇 話し合い申し入れ
全国団体が習志野市長に
習志野市が障害者枠で採用した男性職員(28)を試用期間終了後に解雇した問題で、全国の障害者団体・個人でつくる「『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム実行委員会」のメンバー4人が20日、習志野市役所を訪れ、話し合いに応じるよう求める申し入れ書を宮本泰介市長宛てに提出した。
申し入れ書では「市議会傍聴や元職員に話を聞くなどし、市の対応は差別的かつ不当だと改めて確認した」としたうえで、①差別でないと考える根拠は何か②障害者差別解消法などに照らしてどう考えるかーなどの質問に対する回答を求めている。メンバーらは「解雇通告の際に(元職員の)母親を呼び出したのは、障害者を一人の人間、成人として認めていないということだ」と指摘。横山晃久(てるひさ)実行委員長(62)は「元職員の復職に協力したい」と話した。
同実行委は5月19日付文書でも話し合いを求めたが、市側は応じていない。   (青木英一)

評価 全部黒塗り(2016/6/28報道)

東京新聞2016/6/28千葉中央版 掲載

習志野市 評価全部黒塗り
市採用の障害者男性 解雇理由求め審査請求

習志野市に正規採用され、試用期間終了後に解雇された障害者の男性(二八)が解雇理由に関する自己情報の開示を市に求めたところ、評価の記載部分が全面黒塗りで開示された。男性は二十七日、「不開示は不当」と全面開示を求め、市に異議申し立ての審査請求をした。市は受理、弁護士や大学教員ら五人でつくる市行政不服審査会で審査する。
男性は解雇日の今年二月末、自身の勤務評価の開示を請求。市は翌月下旬、男性が勤務した介護保険課と総務課のそれぞれ勤務実績報告書など計四通を公開したが、評価部分はすべて黒塗りだった。男性は今月十月三日に再申請したが、開示内容は変わらなかった。
試用期間を解除し正式採用するか判断する際、市は責任感や仕事の速度など十七項目の総合判断で評価する。市は解雇理由について 「男性は基準に達しなかった」とだけ述べ、詳細を明かしていない。
男性の請求に基づき公開された文書によると、十七項目の配点に加え、男性の点数と総合得点の部分を非公開とした。また両課長による自由記述も評価部分を黒塗りとした。市は「職員のありのままを評価するのが基本。配点が分かると、作為が生じて評価ができなくなる。自由記述も点数が推測できる」と、今後の勤
務評価に影響が出ることを非開示の理由としている。
男性は審査請求書で「不当解雇された上に、まともな説明すらしてもらえない二重の苦しみを受けている。憲法の『知る権利』の否定で、透明性が求められる自治体行政ではあってはならない」と指摘している。    (服部利崇)
(写真説明)男性の勤務状況に関する公文書の画像。評価部分は全部黒塗りだ

6月議会で8人の市議が解雇問題で一般質問(2016/6/16報道)

朝日新聞2016/6/16ちば首都圏版 掲載

習志野市、障害者枠の職員解雇
与党司法に問う声も
習志野市議会の一般質問で、与野党8議員が障害者枠で採用された男性職員(28)の解雇を取り上げた。野党は採用責任などの観点から解雇を批判。与党は市の対応を容認、司法判断に委ねる姿勢も見せた。
市は解雇理由について、条件付き採用期間(試用期間)の計9ヵ月で「勤務評価が基準に達しない」を挙げた。その評価は「資質、意欲、行動、態度について一般採用者と同等の視点や
基準」と説明した。
これに対し、野党の宮内一夫氏(新社会党・無所属の会)は、問題ある職員の執務態度に対し、個別の改善指導や研修などに2年かけたうえで、やむなく免職にした他市の事例を紹介。
央重則氏(環境みらい)は、千葉県の障害者条例や障害者差別解消法を挙げ 「障害者を優遇し、合理的配慮をすべきだ」と主張。両氏とも「市長が掲げる 『優しさで紡ぐ街』に反する」と対応を批判し、解雇取り消しを求めた。
谷岡隆氏(共産党)は 「弁明の機会も与えられず、免職に関する市の規定がない現状では採用権の乱用だ」と厳しく指摘した。
木村孝氏(民意と歩む会)も「条件付き採用期間の延長があることを本人に説明しないまま、延長前日に通告している」と就労に関し説明責任を果たしていない市の対応を追及し、解雇無効を訴えた。
与党の小川利枝子氏(公明党)は「事実確認し、市が納税者の市民に対しけじめをつけた『必然』の判断と受け止める」と容認。関根洋幸氏(元気な習志野をつくる会)は「不当解雇でなく、能力不足による免職と理解する」と表明した。
関根氏は、具体的な能力不足について「個人の名誉に関する」として公表しない市が「裁判になれば、しっかり説明する」との答弁を引き出した。その上で 「やむを得ない免職と思うが、理解頂けない場合は、司法の場で判断を委ねるしかないと思う」と述べた。
(佐々木和彦)

 

 

 

習志野市役所前 解雇撤回のデモ(2016/6/14報道)

習志野市役所前

東京新聞2016/6/14千葉中央版 掲載

習志野市役所前 解雇撤回のデモ
       障害者問題
習志野市に正規採用された障害者の男性(二八)が試用期間終了後に解雇された問題で、本人と支援するユニオン習志野は十三日、市役所一帯で、宮本泰介市長に解雇撤回と話し合いを求め
るデモを行った=写真。
開会中の市議会六月定例会でも問題が取り上げられたことから、「解雇の不当性を広く呼びかけたい」と企画した。雨の中、障害者や支援者ら二十人超が参加した。「宮本市長は解雇撤回を」の横断幕などを掲げ、市役所前から近くの公園までの約一キロを歩いた。
ユニオン習志野の菊池晴知委員長は「議員八人が一般質問する異例の展開。議員に負けず全力で市民に訴えたい」と話している。ユニオンによると、四月二十二日の二回目の交渉を最後に、市は話し合いに応じていないという。(服部利崇)

 

解雇予告手当支払遅れ、休業手当未払いか(2016/6/8報道)

朝日新聞2016/6/8ちば首都圏版 掲載

習志野市、休業手当未払いか
障害者枠の職員 解雇予告手当遅れる
習志野市が障害者枠で採用した男性職員(28)を解雇した問題で、市が男性の解雇予告手当を退職日の18日後に支払っていたことが7日、市議会の一般質問で分かった。宮内一夫氏(新社会党・無所属の会)の質問に答えた。
厚生労働省監督課によると、解雇予告手当は解雇まで30日に満たない日数分の賃金を過去3ヵ月間の平均日額で支払う仕組み。支払いが退職日から遅れた時は休業手当が必要な場合もあるという。
男性は2月22日に通告を受け、同29日に退職。市は23日分の解雇予告手当を含む退職金を3月18日に支給した。これに対し、宮内氏は「支払いまでの休業手当が必要だ」と指摘、市は国に確認することにした。

 

障害者解雇問題で習志野市に抗議38件(2016/5/26報道)

朝日新聞2016/5/26ちば首都圏版 掲載

障害者解雇 習志野市に抗議38件
習志野市が障害者枠で採 用した男性職員(28)を条件 付き採用期間(試用期間) 後に解雇した問題で、市に 抗議の電話やメール、ファ クスが舞い込んでいる。24 日夜、男性を囲んだミニ集 会があり、市の対応を批判 する声が相次いだ。
市によると。これまで電 話などで41件の意見があ り、「障害者への配慮が不 足している」など抗議38 件、「それなりの理由があ った」という賛同2件、事 実確認1件だった。
宮本泰介市長は25日の定 例記者会見で「問題がない 解雇と認識しているし、個 人の名誉に関係するので内 容を積極的に発信しない」 と従来の考えを繰り返し た。
ミニ集会では、男性が 「解雇されるという現実 を受け入れられなかった」 と率直な気持ちを表明。
参加者から「障害者を職 場に受け入れることで『育 てる』『育ち合う』との考 えが必要だった」 「働きや すい環境をつくろうという 理念が足りなかったのでは」 といった意見があった。

障害者元職員解雇撤回要求(2016/4/21報道)

読売新聞2016/4/21千葉版 掲載

障害者元職員解雇撤回要求 習志野市に
試用期間「成績不良」で
習志野市職員として昨年6月に障害者伜で採用された男性(28)が、民間企業の試用期間にあたる条件付き採用期間の勤務成績不良を理由に解雇され、反発している。男性側は「条件付き
採用期間であっても、能力不足を理由にした解雇は異例」と主張し、22日に市と交渉して解雇撤回を求める。
男性は障害等級4級で、主に左足が不自由だが、自力で歩くことができる。市の障害者枠試験を受け、昨年6月1日付で採用された。11月末までの6か月は、能力が基準に達しない場合は免職にできる条件付き採用期間だった。介護保険課で介護サービス申し込みのデータ入力と窓口対応を担当し、当初は入力漏れなど
もあったという。
条件付き採用が終了する11月末、「初歩的ミスが多い」などとして、市から本採用先送りと条件付き採用期間の3か月延長を通告された。総務課に配置替えとなり、会議録作成や国勢調査の書類チェックなどをしたが、「会議録の発言者が不明となっている」 「仕事が遅い」などとして、今年2月29日付で解雇された。市は「条件付き採用期間を延長し、丁寧に評価した上での結論。障害者差別はない」としている。
これに対して男性は「入力漏れは、指摘を受け、なくなったはず。議事録は、会議に同席せずに録音音声を文字に起こしたため、発言者がわからなかった」と反論。「今年4月の障害者差別解消法施行を前にした駆け込み解雇ではないか」と指摘している。

障害者男性解雇「謝罪と撤回を」市議が質問状(2016/4/20報道)

東京新聞2016/4/20千葉中央版 掲載

障害者男性解雇「謝罪と撤回を」
習志野市長に市議質問状
習志野市が正規採用した障害者の男性(二八)を試用期間終了直後に解雇した問題で、同市の立崎誠一市議(民意と歩む会)が、男性の解雇撤回と職場復帰を求める公開質問状を宮本泰介市長に提出した。
十八日に提出された質問状によると、四月施行の障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が「明確に障害者を差別してはならないと定めている」とし、解雇を批判した。
男性を支援するユニオン習志野は法施行前の解雇がI駆け込み解雇」に当たると主張。立崎市議も「法律を無視したあまりにも非情な行為」と指摘した。
同市が試用期間後に雇用を継続しないのは初めてで、立崎市議は「情け容赦のない解雇で明らかに法律違反」と市の対応を批判し、男性に謝罪も求めている。二十八日までに回答を求めている。
市人事課は「受理はした。回答するかを含め対応を検討している」としている。本紙がこの問題を報道した十二日以降、市にはメールや電話計十件前後が寄せられている。「(解雇は)受け入れがたい」など批判のほか、「障害者の雇用を促進すべきだ」などの提言もあったという。         (服部利崇)

試用期間後に障がい者解雇 差別解消法前「駆け込み」(2016/4/12報道)

東京新聞2016/4/12全国版 掲載

習志野市 試用期間後に障がい者解雇
男性反発 
差別解消法前「駆け込み」
 千葉県習志野市が、職員として採用した障害者の 男性(二八)を、試用期間終了直後の二月に解雇してい たことが分かった。犯罪に関わった場合などを除 き、公務員が試用期間後に雇用を継続されないヶー スはまれで、市でも初めて。市は「解雇は障害が理
由ではなく、能力が採用基準に達しなかった」と説 明するが、男性は、障害を理由とした不利な扱いを 禁じる障害者差別解消法が四月施行される前の「駆 け込み解雇」と反発している。   (服部利崇)
市側「能力不足」
男性によると、左足が生まれつき不自由で、障害者手帳四級の認定を受けている。歩くのが遅く長時間立つていられないが、車いすやつえは使つていない。
市によると、昨年六月に試験と面接を経て障害者枠で一般事務職として正規雇用した。半年の試用期間中、介護保険課でデータ入力や窓口対応を担当したが、能力不足などがあったとして試用期間を三ヵ月延長。総務課でテープ起こしなどを担当した後、今年二月二十二日に解雇通告した。
市の市川隆幸総務部長は解雇の具体的な理由は明らかにしていないが、「仕事の速度や協調性、勤務態度など十七項目を総合評価した結果、基準に達しなかった」と説明。「身体障害者枠の雇用だが、健常者と同じ事務能力がある前提で採用した」としている。
障害者雇用促進法が定める国と地方自治体の法定雇用率は2・3%だが、同市は二〇一四年六月時点で1・58%。不足人数は五・五人と県内最多で、千葉労働局が改善を求めていた。
障害者雇用に詳しい清水建夫弁護士は「障害者雇用率を見ても市は順法精神に乏しい。障害者の特性に応じた配慮をするべきで、共生社会実現には、均等に働く機会を与えねばならない」と話している。

男性「職場に戻して」
支援組織も批判「受け入れ配慮欠く」
「職場に戻してほしい」。千葉県習志野市に正規採用され ながら、試用期間後に解雇された男性はこう訴える。昨年 春に関西の大学を卒業。「利益を追求せず、人のため働け る」と公務員を志し、障害者枠で募集していた同市に応募 した。「採用と聞き、メチャメチャうれしかった。市民の ため何でもする」と新たな人生に夢を膨らませた。
「誠実に対応したら市民にわかってもらえた」。介護保 険課で働く喜びを感じつつも、制度の複雑さに困惑、データ入力をミスすることもあった。総務課では上司や先輩の注意にも耳を傾け、失敗なくできた」と振り返る。
支援するユニオン習志野委員長の菊池晴知さんは「障害 への合理的配慮が求められるのに、忙しい課に配属させ、 仲間として受け入れる態勢と覚悟に欠けた」と批判する。
解雇時には、関西方面に住む母親も呼び出された。クビ を宣告され、男性はショックで反論もできず泣いた。