習志野市の障害男性 解雇から1年(2017/2/18報道)

「市民のために働きたい」
習志野市の障害男性 解雇から1 

習志野市に障害者枠で正規採用された男性(29)が昨年二月、「能力不足」を理由に、試用期間終了直前に解雇されてから間もなく一年。男性は千葉地裁に起こした解雇取り消しなどを求める訴訟で、市側と全面的に争っている。「この一年、市民のために働きたい、という原点は忘れなかった。障害者の支援に関わる業務に就き、すべての人が暮らしやすいまちづくりを進めたい」。職場復帰への強い意志が男性を動かしている。(服部利崇) 

千葉地裁で市と係争中 復帰への思い強く
 男性は左足が生まれつき不自由で4級の障害者手帳を持つ。「二時間も立っていられず、人より歩くのに時間がかかる」
 障害者枠で募集していた習志野市の試験に合格。試用期間として、二〇一五年六月から介護保険課で半年、総務課で三カ月働いた。
 市から解雇を言い渡されたのは、試用期間終了の一週間前の昨年二月二十二日。関西方面から呼び出された母親(60)も同席した。男性は「自分一人で聞きたかった。母の前で息子を『能力不足』と言うなんて信じられない」と憤る。男性は正規職員になれず、同月二十九日付で解雇された。 

撤回へ支援の輪広がる 

 市は解雇理由に能力不足をあげる。市側が千葉地裁に提出した準備書面などによると、上司に反抗的な態度を取り、ミスを繰り返し処理も遅かったという。
 男性は取材に、口答えの事実を認めた上で「目上の人への言葉遣いではなかった」と反省する。一方で、「能力不足」は納得いかない。「新入社員で至らない点はあったが、精いっぱいして遅かっただけ。人より時間がかかることが解雇理由になるのはおかしい」と訴える。
 男性を支援する輪は広がっている。昨年七月に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で四十六人が殺傷された事件を受け、障害者問題に関心が高まったことも、支援を後押しした。男性を支える市民レベルの団体も近く発足するという。解雇撤回などを求める署名も行っており、六百筆を超えた。男性は「いろんな人が助けてくれた。職場に戻りたい気持ちがさらに強くなった」と話す。
 男性は関西方面出身だが、習志野市に残り職場復帰をめさしてきた。週一回、署名集めで街頭にも立つ。この一年、障害を理由に職を奪われたりした人たちから励ましを受けたという。「境遇が同じ人も多いことが分かった。そういう人たちの思いも背負って裁判に勝ちたい」 

2回弁論 市は解雇正当主張

 十七日には男性の解雇を巡る訴訟の第二回口頭弁論が千葉地裁で開かれた。弁論では、被告の市側が準備書面を提出。原告側の代理人によると、市側は、男性の仕事ぶりを「業務量は少ないのに処理が遅く、間違いが多い」と指摘した上で「新規採用に加え、障害があることを考慮し指導したが、改善しなかった」とし、解雇は正当と主張したという。
 閉廷後、原告側の山本志都弁護士は「市が指摘したのはさまつなことや、注意すれば改善できることばかり、職務執行に重大な影響を与えるものでなく、これを理由とした解雇はおかしい」と話した。
 裁判の始まる前には、支援者ら約三十人が千葉市内中心部を三十分ほどかけてデモを行った。

東京新聞2017/2/18千葉中央版 掲載

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA