雑誌「福祉労働」155号に習志野市障がい者解雇問題の記事が載りました

  1. 現代書館発行の雑誌「福祉労働」第155号(6月25日発行、1200円+税)に
    「勝利に向かって大きく前進ー習志野市役所障がい者不当解雇事件、あれから1年」の記事が載りました。(記事の内容は5月25日段階のものであることをご了承ください。その後大きく変わった状況については、改めて報告させていただきます)

勝利に向かって大きく前進
習志野市役所障がい者不当解雇事件、あれから1年                   習志野市障がい者雇用を求める会(準)

2016年4月、障害者差別解消法が施行されましたが、その直前の2016年2月末、千葉県習志野市で、障がい者枠で正式採用された青年Aさんが、わずか9ヶ月で解雇される、という驚くべき事件が起こりました。(「福祉労働」152号の「季節風」で既報)
 以来、全国の皆さんから暖かいご支援や激励をいただき、解雇撤回、職場復帰に向けて大きく前進しています。この事件についてその後の経過(5月25日段階まで)をご報告します。

障がい者雇用そのものを否定する習志野市長

 2016年6月、9月、12月、2017年3月と、習志野市議会では毎回障がい者不当解雇問題が論戦の的になっています。極めて異例の事態です。解雇撤回を求める議員の一般質問に対し宮本泰介習志野市長は「公務員は全体の奉仕者として給料については納税者が負担をしている」と、障がい者雇用が税金の無駄使いであるかのような発言を行い、それを後押しする与党議員も「人を物に例えるのはいかがなものかと思いますが、高い買い物になるのか、お得な買い物になるかは、職員の採用にかかっている」と発言。こうした「障がい者雇用はお荷物であり、税金の無駄使い」という習志野市の障がい者差別、人間侮蔑の考え方が今回の不当解雇の背景にあります。
 そして習志野市職員の労働組合「ユニオン習志野」や障がい者団体が話し合い解決を何度も求めましたが、宮本市長は「能力不足の障がい者を解雇しただけ」と開き直り、一切の話し合いを拒否しています。津久井やまゆり園事件の「不幸しかつくることのできない障害者はいないほうがいい」という犯行動機と同じ危険な考え方です。
 このままでは事態が一歩も前に進まないため、2016年10月、やむなくAさんは不当解雇撤回を求め、裁判所に訴えを起こしました。裁判は書類のやり取りなど序盤の段階で、まだ本格審理に入っていませんが、もう既に解雇の不当性を証明する事実が次から次へと明らかになっています。

「私のような目に遭う人間が二度と出ないようにしていただきたい」

 2016年12月第1回裁判でAさんは以下のように思いの丈を語りました。
 私は生まれたときから脳性まひのため左足が不自由ですが、優しい人たちに囲まれて育ちました。利益を追求するのではなく、人の役に立つ仕事をしたい、ということで公務員を志し、習志野市の身体障害者枠の採用に応募しました。
 試験を受け、習志野市から合格通知が来たときには、私も夢をふくらませました。両親や友人、高校のときの恩師、大学でお世話になった先生方もすごく喜んでくれ、激励してくれました。その時の私はまさか9カ月後に解雇されるとは夢にも思っていませんでした。
 確かに初めて社会に出て、とまどうことは多く、今振り返れば社会人として未熟な面もありました。職場の皆さんにご迷惑をおかけしたこともあったと思います。しかし、条件付き採用期間終了時の免職処分は、あまりに残酷なものでした。なぜこんなことが起こってしまったのか、といまだに信じられない気持ちです。
 しかし、絶望に陥っていた私をいろいろな人が助けてくれました。職場でパワハラにあったり、民間の障害者枠で採用されたのに能力不足で退職強要をされ、つらい目にあった方たちがいらっしゃることも知りました。しかし、障害者枠で採用した人間をわずか9カ月で解雇という乱暴な扱いをした自治体は習志野市だけだと聞いています。こんなことがまかり通れば、障がい者差別のない雇用はいつまでたっても実現されません。こんな前例をつくっては絶対にいけない、心からそう思います。
 習志野市役所を、人間を大事にする、温かみのある職場にしていただき、この社会の中で私のような目に合う人間が二度と出ないようにしていただきたいと思います。

解雇に追い込むための監視・密告

 「条件付き採用」の終わる11月30日当日、当局は突然Aさんに「条件付き解除はしない(正式採用しない)。更に3カ月間条件付き期間を延長する。総務課で勤務するように」と言い渡しました。
 しかし実はその総務課は所謂「追い出し部屋」で、解雇理由にするためのアラ探しをするため、係長が一日中Aさんの行動を監視し、Aさんには内緒で膨大な「監視記録」を作っていた、という事実が判明しました。その内容も「ネクタイが曲がっていた」、「始業時間8時半の5分前に出勤するよう言ったのに3分前に出勤した」の他、Aさんが足に障がいがあるのに「トイレに行って遅れても急がない」、「移動のとき植木にぶつかり倒してしまう」など、心無い「いじめメモ」を書き、更に「〇〇していたと同僚職員により確認された」など、他の職員に密告までさせて、取るにたりないことを膨大に書き記したものでした。いじめ、パワハラそのものです。 

公文書「実習日誌」の「裏帳簿」を作っていた

 総務課にいた3カ月、Aさんは「実習日誌」を提出するよう命じられました。その日にやった業務、それに対する上司の指導内容を記入し、決裁印をもらって保管する「正式の」公文書です。ところが当局はこの公文書を「Aさんには内緒で」コピーし、そこにAさんの「監視記録」を殴り書きした、公文書ではない「裏帳簿」を作り、何と!その内容を解雇理由として持ち出してきたのです。驚くべき陰湿な体質です。

「解雇基準はある」というウソの市議会答弁

 市議会の答弁で、当局は「Aさんに対する課長の評価が60点に満たなかったから解雇した。解雇基準は定めてある。」と言ってきました。ところが4月7日に行われた第3回口頭弁論では「成文化されたものはない」、つまり解雇基準など定めていないのにクビにしてしまったことを「白状」したのです。
 それならば当局はただちに瑕疵(かし)を認め、不当解雇を撤回すべきです。

「勤務実績報告書」は差別文書だった

 解雇の唯一の根拠とされていた、課長の「勤務実績報告書」について、これまで「墨塗り」で開示拒否を行ってきましたが、さすがの裁判長も「墨塗りでは解雇が正当かどうか判断できない」と指摘せざるを得なくなり、4月7日の口頭弁論でついにその内容が開示されました。17項目の評価の内容は、例えば「勤勉」の項では、「極めて不まじめで何の役にもたたない」「不まじめで陰日向があり勝手に席をはなれたり雑談したりする」。「健康度」の項では「あまり健康でない」「大体健康である」など、評価者の気分でどうにでもなるようなあいまいな表現ばかりです。しかも上司の所見欄には「担当業務について一人で処理できず他の職員に聞くことが多く」とか「シャツが出ていたり、ネクタイが曲がっていたり…社会人として不適格…条件付解除には値しない(注:クビにしろ、ということ)」などと、一人の人間を解雇するにはあまりにも「軽い」内容が記入されています。就職したばかりなのだから「他の職員に聞く」のは当たり前のことです。
 さらにAさんが「迷惑な存在になっている」、つまり障がい者は迷惑な存在であると書いてあり、障がい者の「健康度」まで評価の対象にしていることと併せて、障がい者差別文書であることもハッキリしました。

障がい者不当解雇は、習志野市の人権侵害、差別体質が生み出したもの

 障がい者を切り捨てるため、ここまで人権侵害を行う習志野市、「ブラック自治体」と言われても仕方ありません。皆さんのご支援のおかげで、これまで隠されていた「不都合な真実」が次々に明らかになっています。「正式採用した職員を条件付き採用期間が終わった時点で解雇」、「障がい者として採用した職員をわずか9カ月で解雇」という、二重の意味で前例のないことをやってしまった習志野市は、もはや解雇の正当性をまともに主張できなくなっており、解雇撤回闘争は勝利に向かって大きく前進しています。
 現在千葉地裁で審理されている裁判も、70席の傍聴席が毎回埋め尽くされ、全国から解雇撤回署名もお寄せいただき、市民による「習志野市障がい者雇用を求める会」の結成準備も進められております。完全勝利、職場復帰に向けて更なるご支援をお願いします。

「習志野市障がい者雇用を求める会」(準)のホームページ
http://mayday.sub.jp/n.koyou/ をご覧ください。

連絡先は ユニオン習志野 電話 047(429)8335 
           メール union5nara@yahoo.co.jp です。

 

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